2011/01/24

ハードテールでダウンヒルをやるには?(追記あり)

*少し追記しました*

遂に最初にアップしたビデオの視聴回数が10万回を突破しました!最後の一押しをしてくれたのは、いつも何かと広告して頂いているちろさんのサイトです。そこにこんな記事がアップされていました。


様々なアプローチの仕方の中に、僕がやっていく内に実感したことがばっちり書かれています。しかしこの中に実際には具体的にどうやって乗るのかということが書かれていなかったので、今までの自分の経験を言葉にできたらと思いこの記事を書く事にしました。これもその敷居の低さ故、より多くの方がHTに興味を示してもらうもうまく操れずに「フルサスの方が楽じゃん」という結果に至ってしまわないように、と思ったからです。要はおせっかいですね。

まず初めに断りを入れておこうと思います。ちろさんのおっしゃる通り、ハードテール(HT)はフルサス(FS)に比べ値段が安いのは周知の事実なので機材の高いイメージのあるダウンヒル(DH)が身近に感じられます。よりスムースなライン取りも可能になるでしょう。ですが、その道は楽ではありません。最初からいきなり乗れる人は少ないはずです。めげずに続けるかあきらめる、そのどちらかしか道が残されていません。まぁ、楽しく乗れればそれでOKなのですが、ここではより少しでも速く、という方向けのアドバイスをしています。

ちなみに正確な数値などは一切書きません。例えば「700mm以上のハンドルを使え!」とか「クランクは165mmじゃなきゃだめ!」と言った具合です。これはあくまで僕が実践している事なので、その全てが皆さんに当てはまる訳ではないからです。バイクの違いだってありますもんね。これらの数値は好みであったり、走っていく内に自然と導かれて行くものです。参考までに僕のバイクのセッティングはハンドル:760mm、ステム:50mm、フォークトラベル:150mm、クランク長:175mmです。ところでクランク長ですが、元々後輪が沈み込まないHTではそれほど長さは影響しません。高回転の時に脚が回しやすいかどうかくらいです。それではいくつかのコツを紹介します。
  • 乗車ポジション
平坦〜やや緩やかな下りをスタンディングで乗る想定です。ポジションはどこにも力を入れず、ただペダルの上に立ち、そのまま上体を前に倒して行き、ハンドルを握るだけ。背中の角度も無理に意識する必要は無いと思います。いつでもハンドルに加重すればフォークを沈み込ませる事の出来るポジションと言ったらわかりやすいでしょうか。
急な下りの場合はもちろん腰を引きますが意識しすぎて引きすぎないようにするのがコツです。あくまで、前輪が障害物に刺さって前転をしない程度で後輪に荷重がかかっていれば良いと思います。この時、腕が伸び
きっているとハンドル操作が出来ないので肘が軽く曲がる程度の余裕を保つ必要があります。これがステムの長さと関係してきます。ハンドル幅は関係ありません。
  • 腕を張る
ハンドル幅も関係してくるのですが、よく腕を閉めて乗っているライダーを目にします。腕を閉めて乗ってしまうと上半身の体重を前輪に乗せにくくなります。パソコンのキーボードを打つ時、腕は閉めますか?閉めないですよね?適度に開いているはずです。それと同じ感覚でハンドルを握るだけ。また、無理に腕を外へ突っ張る必要もありません。突然の衝撃でも腕を曲げてスムースに吸収できる開き方が理想です。あくまでも自然に!
  • ハンドルは広め
ここで広い方が良いと言ってしまうと何も考えずに飛びついてしまう人がいるかもしれませんが、トップDHライダーは皆幅広のハンドルを使っています。その長さはモトクロスのそれよりも長かったりしますがこれには理由はあります。広くなればなるほど前輪に加重しやすくなり、上半身は低く保つ事が出来るからです。前輪へ加重できるという事はフォークの性能をより引き出してあげることに繋がります。フォークは単純に言ってしまえばバネです。荷重のかかっていないバネはただの棒と何ら変わりないですからね。後輪が跳ねるHTを後ろ荷重で乗ることほど無意味なことはありません。膝を使えば押さえつける事が可能だからです。もちろん、広いからと言って速く走れるという保証はありませんが、今ではバイクが広いハンドルを前提に進化しています。狭い所が通り抜けられない...というのは言い訳にすぎません。そういう箇所は普通のトレイルで、常設コースには無いはずです。幅広のバーを購入されたら、一度はどんなに長くとも切らずにそのまま使ってみる事をお勧めします。試す中で徐々に短くして行けば良いからです。
  • 加重するポイント
これまたよく目にする光景です。何も無いところ、または加重すべきポイントとずれた場所でひょこひょこと体を動かしている人がいますが、これでは加速は生まれません。前輪なり後輪が障害物やコブの最上点を過ぎて下がり始めた時のみが加重ポイントとなるのです。物体が下り始めた時に後ろから押してあげれば、その物体はより速く下りようとしますよね?具体的には前輪が最上点を過ぎたら上半身の体重を腕にかけて伸ばし(押し)、後輪が最上点を過ぎたら曲げていた膝を伸ばす、この二つの独立した動きをバイクの挙動に併せて行ってあげるだけです。
  • 地形や障害物を最大限に利用する
FSでは吸収されてしまう木の根や小さい段差も、前で述べた動作を行えば加速に変える事が出来るのがHTです。荒れたところで漕ぐのはHTでは至難の業なのでこれぐらいしかFSに追いつく手段は無いのです。また、コーナーのグリップが絶対的に低いのがHT。FSのように直線的にコーナーに進入して急激に向きを変えて抜けて行くことも難しいです。それなら、コーナーの手前から予備動作を行いアウト側に振ってから曲がって行けば良いのでは?。平らなところだけが走れるラインではないはずです。想像力を働かせてもう一度いつものラインを眺めてみてください。何か発見があるかもしれません。
  • 木の根やロックガーデンなどの荒れたセクションのライン取り
「HTは後ろが暴れるなら、障害物が少ないラインを選ぼう。そのラインを取るには減速しないと入れないから...」その前にもう一度そのセクションを見てみましょう。ただでさえ速度を乗せにくいHTで更に減速ですか?もしここを減速無しで通り過ぎる事が出来るとしたら...そんなライン、どこにも見当たりません。そうです、元々見えないんです。なぜなら空を走る訳だから。要はそのセクションごと飛び越えてしまう訳です(セクションの長さにも依ります)。空中にいる間は唯一誰もが平等になれる時間。ママチャリでもDHレースバイクでも、地面と接していなければ何の違いもありません。「バニーホップは高く飛べないもんなぁ」その必要はありません。きちんと加重抜重ができればちょっとした木の根や岩でたやすく浮く事が出来るのです。
  • タイヤについて
後輪が衝撃を一手に受けるHT、タイヤ選びは重要です。といっても、「OOのXXというモデルが良い」という話ではなく、タイヤのビードとサイドウォールの話です。パンクの心配をしたくなければワイヤービードでかつ2ply(2層)のものを選ぶと良いと思います。この手のタイヤはラインアップの中でも一番重いのですが、空気圧さえ間違わなければ普通のサイズのチューブでもパンクはまずしないはずです。経験談ですが、カナダのウィスラーで一昨年の夏で70日以上、370本以上もDHコースを下りましたが、後輪のパンクは一度のみ(前輪は皆無)で後はリムのビードがぐにゃぐにゃになり、リムのみを計6本交換しました(非経済的ですね)。この時パンクしたタイヤは2.5インチだったもののサイドウォールがぺらぺらのものでした。去年の夏はぺらぺらのものをしつこく使い続け、1日で3回パンクなんてこともありました。タイヤは軽いに越した事はありませんが、レース中にパンクするのとどちらが良いかと比べると...。前タイヤですが、こちらはフォークがあるので軽めのもので良いと思っています。去年の夏にどうしても完走したいレースが有ったのですが、その時だけは前輪に2.7インチの2plyを、後輪にDHチューブを使用した事があります。結果はぶち転けてビリから3番目でした...。
  • 空気圧について(チューブドのみ)
さて、タイヤに何を選べば良いかわかりました。あとは肝心な空気圧です。正直な話、正確な空気圧は自分でも把握していません。おそらく2気圧は入っていないと思いますが、空気圧計は使わない主義なので何とも言えません。空気圧という数値はパンクの有無を保証してくれませんからね。タイヤやチューブによっても変わってくる要因ですし。僕の空気圧確認方法は、指で押してどこまで凹むかをまず確認し、それが高速走行中に鋭利なものにぶつかったらどこまで凹むかを想像することです。「指で押してここまで凹むんだったら、高速だったらリム打ちするな」といった具合です。もの凄く曖昧ですが、今のところ間違いはありません。ちなみにチューブレスについては使用経験が無いので触れません。
  • 足首を使う
膝は誰もがよく使う箇所ですが足首はどうでしょう。膝が伸びきった状態で何かを乗り越えなければならなかったら?足の可動部分は膝以外に足首があるのです。上記の加重抜重の項で述べた動作ですが、中には膝を動かすまでもない状況というのがあります。障害物が小さい場合です。そんな時は膝は特に動かさず、後輪の挙動を妨げないように足首を柔らかく曲げ(かかとを上げる)、障害物を通過する時点で伸ばして(かかとを下ろす)加重抜重を行うのです。
  • コーナリング(追記項目)
少し勇気のいるテクニックです。それはバームをしっかり使うのではなくコーナーに直線的に入って向きを変え、直線的に出る方法です。FSっぽい曲がり方といえばピンと来ますか?これができたらかっこいいですし、何よりとても気持ちいいです。まず、タイヤが滑ってもしっかり受け止めてくれるほどの角度の付いたバームが前提条件です。さてその方法ですが、方向転換を行いたいバーム上の一点を見つめながらコーナーに直線的に進入します。「このままじゃ曲がるどころかバームから飛び出てちゃう!」くらい真っ直ぐに。バームにぶつかる直前まで前輪が来たら身体を倒し膝を少し曲げながら急にハンドルを切ります。と、同時に視線はコーナー出口へ持って行きます。また、この時のポジションは真ん中からやや前輪荷重が良いと思います。するとまず前輪が、次に後輪がグリップを失い滑り始めますが、すぐに前輪はバームの角度に対して垂直となる位置で再びグリップを取り戻します。この時点からフォークが沈み始める訳ですが、ここでも膝を曲げ続けています。では一体どこまで膝を曲げ続け、いつ曲げ戻せば良いのか?答えは後輪がグリップを取り戻した時です。言い換えれば、方向転換が終了した時です。この状態では、前後輪ともバームの角度に対して垂直で、フォークは沈みきっています。ここで今まで曲げていた膝をバイクを通して地面を蹴るつもりで思いっきり伸ばしてやります。要はFSのリアショックでいう反発力(リバウンド)を膝を使って行うのです。するとバイクがバームから勢い良く飛び出す形でコーナーを抜けて行きます。注意点として、ビビってしまって後輪過重にしたりブレーキをかけると、確実に転びます。膝の曲げる量ですが、すばやく曲げ伸ばせる事の出来るところまで曲げてください。曲げすぎると飛び出るタイミングを逃す事になり、飛び出れなくなります。また、身体を内側に十分倒しきれていないと遠心力で身体だけアウト側に振られてハイサイドを食らうことがあります。そしてこの動作は終止クランクは水平に保ってください。内側の脚が上がり(内側の膝が曲がり)、外側が下がっている(外側の膝が伸びている)とこの動作は行えません。両膝を同時に使うのがポイントなのです。人によって曲がる方向に得手不得手があるので、自分の得意な方向から始めてみてください。この動作はもの凄く短い時間で行われるものです。バームをしっかり使うのと部分的に使うのではどちらが速いかは何とも言えませんが、知っておいて損は無いテクニックなので書いてみました。もう一度整理してみます。
  1. 直線的にバームに入る。視線は方向転換を行いたい場所へ向ける。やや前荷重。
  2. 身体を倒しつつハンドルを急に切り、前輪を滑らせる。視線はコーナー出口へ。膝を曲げ始める。少し遅れて後輪も滑り始める。
  3. 前輪のグリップ復活。後輪はあともう少しで復活。フォークは沈み込んだ状態。膝を曲げ続ける。
  4. 前後輪のグリップが戻ったら膝を蹴るようにして伸ばす。フォークの伸びも意識して前後輪同時に飛び出す。
  5. 素早くコーナーを抜けられ、かっこ良く土煙が立つ。

以上述べて来た事がコツになるんですが、要はバイクの挙動に合わせて身体を自然に柔らかく使ってあげる事がポイントです。無理な力は入れる必要はありません。衝撃という形で外部から入力があればそれを身体を使って推進力という出力に変換してあげるのです。この身体の動きがFSでいうリアショックに相当します。衝撃を吸収するだけでなくそれを推進力に変える必要があるので操作量はFSの2倍になります。これがHTの難しいところでもあり、全身を使って操る事の出来る魅力でもある訳です。

本当は小分けにしてネタを増やそうとも考えたのですが、今週はとっても忙しくなりそうな予感。そしてせっかくちろさんが取り上げてくれたのでここで一気に、と思ったのです。それにしても、なんだかマニュアルっぽくなってしまいましたね。「こんな文章を読むより、外に出て乗るのが一番の近道!」これこそが一番のアドバイスだったりします...。


7 件のコメント:

  1. Whoa, nice tips!!
    Thank you, Jinya!!
    You are the man!!

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  2. 最近FSを組み上げて、今まで乗っていたHTをどう使っていこうかと思案中でしたが、この記事でHTに再び光が当たりました。本当にありがとうございます。

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  3. 中々、コーナリング技術について解説したものを
    見つけられなかったところ、日本語で詳しく解説していただき
    ありがとうございます!!
    サム・ヒルがコーナーを切り刻んでいくように曲がる技術も
    こういうことの応用なんでしょうか?
    このコーナリング技術を習得できるようがんばります!!

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  4. >virtual_longmanさん

    読み返してみたら、何もHTに限った事ではない内容になっていましたが、参考にして頂けたら幸いです。

    >rewqさん

    ちょっと文字数が多すぎてわかりにくくなってしまったので、そのうち写真で解説できたらと思います。このテクニックですが、全てのバームで出来るというものではありません。バンクの角度や回転半径に依存します。バイクを低く寝かせられるバンク角度で、回転半径が大きい(旋回の度合いが小さい)ものほど安全に、そして楽にできると思います。

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  5. 素晴らしい内容ですね!
    jinyaさんのライディングのイメージと解説がピタリと
    ハマリました。前半の方はなんとなくイメージできていたのですが、最後のコーナリングテクについては物凄く次元の高い業ですね・・・体得するまでにはかなり時間がかかりそうですw
    クランク長ですが、バイクを替えたら175から170になってしまったんですが、ここぞという時のスピードの乗りが鈍りました。
    悪路でハイスピードでのバイクコントロールのしやすさは
    まさしくJINYAさんのおっしゃるとおりのポジショニングだと
    私自身も思います。

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  6. はじめまして。去年から富士見でダウンヒルを始めました。
    普段は街乗りでHTに乗っていますがFSは持っていない為、行きつけのお店からFSをお借りしてやてみました。

    ダウンヒルは想像以上に常に油断できない緊張感がたまらなくいいですね!
    しかし、やはり自分のバイクが欲しいですがFSで気に入ったバイクを買おうとすると50万位かかってしまいそうですw

    かといって妥協してバイクを買うのも嫌だなと思っていた所でHTダウンヒルを知りました。

    今迄ダウンヒル=FSと思い込んでいたのでビックリしましたが
    色々と読んでるうちに興味がわいてきました!
    FSはどうもお金を掛ければ楽に楽しめるみたいなイメージがあって(個人的な意見ですがw)どうなのかな?とも思っていました。

    HTでギャップをたらふく吸収して楽しみたいと思います!
    これからもココは読まさせて頂きますね!!!!

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  7. >R821さん

    はじめまして。そしてようこそ、HTDHの世界へ。HTの利点として、機材費を抑えられることがありますよね。

    もちろん、速く走ったり大きなジャンプ等をするにはFSが向いていますが、レース志向でなければHTでも十分楽しめます。あくまで向き不向きの問題で、可能不可能ということではありませんから。要はライダー次第ということです。

    身体をいっぱい動かして楽しんでくださいね!

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